あの夏、赤の夏

踏切の鳴

蝉の鳴

車輪の鳴

 

空の鳴

風の鳴

月夜の鳴

 

煩わしい夏は過去になって残る

冷たくても暑苦しい

暗くても眩しい

まるで太陽のような

そんな華やかなものじゃないけど

 

あれは3年前の8月

君と空き缶と煙草と

眺める瀬戸内海に吐露を流す

呆れるくらい湿った夜

蛍に似つかない羽虫は暗闇に埋もれる

未来に行き着かない話は無駄ばかり

「まだそんなことどうでもいいから」

いつかは見なければ怖くない

夜の森は見えないから怖い

 

朝になれば君とは他人

あの日のこともあの夜のことも

君じゃない誰かとの記憶

意味の無い何かとの約束

そんな暑苦しい夏

 

時は哭いた